コミュニティの保護者チャンネルで、お悩みが複数あがっていた「強迫性障害」をテーマに語らいました。
目次
- 【導入】強迫性障害ってなに?
- 自己紹介タイム
- お子さんの様子、事例
- コロナをきっかけに…
- ”滅び”へ対する漠然とした大きな不安
- トイレでの困りごと
- 少しずつ落ち着いたきっかけ
- 本人の思い込みをほぐすこと
- 好きなことをきっかけに
- 信頼できる第三者や、対処法との出会い
- 安心安全のために、お薬の力を借りる
- これってこだわり?症状?判別が難しい
- 保護者の心もち
- 運営スタッフからのコメント
【導入】強迫性障害ってなに?
作業療法士でもあるスタッフ小堀から、強迫性障害の概要をおさらいしました。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_compel.html , https://h-navi.jp/column/article/35025691
強迫性障害とは:ふたつの症状
①強迫観念
その内容が「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができない考え。
②強迫行為
強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為。自分で「やりすぎ」「無意味」とわかっていてもやめられない。
例)不潔恐怖と洗浄、戸締り等の確認行為 etc…
強迫性障害になりやすい人
•几帳面な人
•完璧主義などの性格の人
しかし、こういった性格すべての人が強迫性障害を発症するわけではなく、その他の要因や環境との相互作用によって症状があらわれる。
強迫性障害への対応
強迫行為を無意味だと指摘するのは、本人も分かっているしつらい。
・まずはストレスを緩らげる
・他のことに集中して気をそらす
ことが大切。
治療が必要な場合って?
頻度や程度がエスカレートして…
・本人がやめたいと思っている
・日常生活、社会生活に影響が出ている
・家族や周囲の人が巻き込まれて困っている
→こういった場合は、精神科/心療内科/発達外来/思春期外来/かかりつけの小児科、などに相談しましょう。
こだわりに対しては?
本人が特にやめたいと思っていないこだわりの場合は、きっといつも保護者さん方が向き合っていらっしゃることですが、
・できるだけ見守る
・少しずつ折り合いを見つけていく
といった対処になるかと思います。
自己紹介タイム
アイスブレーキングとして定着しつつある、一言添えた自己紹介。
今回は参加人数も多めだったので、グループ分け後に行い、好きなお菓子について聞いてみました^^
スタッフ小堀は、ハリボーのグミをこよなく愛しております。噛み応えが最高!
保護者さんやお子さんたちのおやつ事情はこちら。
- アスパラガスビスケットのチョコがけにハマっている
- ステイホームで甘いものを食べ過ぎてしまい反省…
- とにかくカンパンを食べる!
- 何でも好き。特にプレッツェルチョコがけいちご♡
- ダイエットのため、おからクッキー
などなどでした!
お子さんの様子、事例
コロナをきっかけに…
「飛沫が気になってしまう時期があり、きょうだいゲンカ」
「新年度にみんなマスクをつけている光景が衝撃だったのか、学校に行けなくなった」
「飛沫への恐怖から学校で水をかぶったり、ソーシャルディスタンスが取れない教室では過ごせず廊下・図書室・保健室で過ごしていた」
「帰宅後すぐにシャワーを浴びることを私(母親)に強要する。玄関からお風呂場まで3歩で行かなきゃいけないというこだわりも強く出た。本人はベランダにすら出られず、家に誰か入るのも拒否していた。学校や病院に行けない」
この話題は複数のエピソードが出てきて、共感される方も多かったようです。
一方でこんな見方もありました。
「コロナもあるけどその前から、死に関連付けて4と言う数字への恐怖、妹の足が触れると汚いと言ってたたくなどの様子があった。対象が変わっていっているだけかもしれない」
不安な気持ちの表現の出口が、不潔恐怖や洗浄行為になっているのかもしれませんね。
”滅び”へ対する漠然とした大きな不安
「前より日常の小さなことは気にならなくなったけど、恐竜の動画を見てから隕石が落ちたらどうしようという不安に駆られている。”死ぬ”とか”終わり”とかのワードが気になってしまう。なかなか他に取り組めることがなく、気持ちが紛れないでいる」
「天災や事件に巻き込まれる、地球がいつとまるか、死ぬんじゃないかという恐怖が常につきまとう。絶対そうじゃないと分かってるけど不安。寝ることへの不安や恐怖もある」
気持ちの安定や他に取り組めることに目を向けるのも必要ですが、まずは受け身的でも「身体がリラックスできる」方法も大切ではないでしょうか。例えば、ハンモックやふわふわの毛布など好きな感覚を得られて安心できる環境に身を置くといったことです。
他の保護者さんからは、「恐竜の絶滅(隕石)についてトコトン調べてみて、今は限りなく確立が低く危なくないことが分かるとどうか?」といった視点での投げかけもありました。今はまだ不安が拭えきれなさそう、あるいは調べることも拒否する可能性があるとのことでしたが、回復の度合いによっては重要なポイントかもしれませんね。
トイレでの困りごと
「緊張すると特に、頻繁に何度もトイレに行く。外出に支障が出る」
「トイレで汚れが取れていない気がして拭き続けてしまう。私(母親)が仕上げに拭くことでなんとか安心する。でもまたうんちするのが怖い。外出先では安心してトイレに座れない。ウェットティッシュも試したけど冷たくてダメだった。感覚過敏も影響していると思う。今思えば、私が仕事で外に出たり、学校に行ってほしいと思っていた時期は、我が子の顔色もずっと悪かった。仕事の時間を減らして、『学校に行かなくてもいいよ』と言えてから、最近は少しおさまってきた」
トイレ関連の事例でも、ベースにある不安や緊張が表出されているようでした。また、触覚などの感覚過敏ゆえに対処方法を見つけるのが難しい側面もみられます。逆に生活場面でのストレスを緩和していくと、症状もやわらぐ可能性もありますね。
少しずつ落ち着いたきっかけ
本人の思い込みをほぐすこと
「去年、コロナをきっかけに何回も長時間かけて手を洗うようになった。手がひび割れていて、そこから菌が入ると余計不衛生になることを伝えるとおさまった」
”手を清潔に”といっても、程度が分からない場合もありますよね。本人が「こうしなきゃいけない」と思い込んでしまっている場合は、上記のように正しい知識を伝えたり、回数や時間を具体的に設定することもできそうですね。
好きなことをきっかけに
「家から一歩も出られなかったが、月に数回ほどは好きなお弁当を買いに行ったり、好きなマイクラをするためのPCを見に行ったりできるようになってきた」
「ゲームの習い事で少しずつ外出できるようになった」
「見学に行ったオルタナティブスクールが合っていたようで、少し元気になってきた」
しっかりと休養がとれたら、好きなことをきっかけに外出を試したり、合う居場所を見つけるのもいいですね。
信頼できる第三者や、対処法との出会い
「関わってもらっている心理士さんを信頼している様子で、教えてもらった呼吸法で少し落ち着いた」
「グループセッションの治療はまだ拒否しているが、自分でも治したい気持ちが出てきているのは進歩かな。少しずつ気持ちが落ち着いたり、自分への理解が出てきているのだと思う」
信頼できる人に出会い、自己理解を深めたり対処法を身につけていくことは、今後大人になってからも役立ちそうです。
安心安全のために、お薬の力を借りる
「病院でお薬を処方され、確認行為は続いているが、パニックは減ってきた」
「クリニックでも診断の境界線むずかしいみたい。症状に対して、気持ちを落ち着けたり、睡眠を導入するお薬を処方されて飲んでいる。癇癪、自傷は消えた。外出前に1時間くらい悩むのはなくなった。落ち込むことは少なくなり、明るくなった」
医療機関にかかって服薬されている方も複数おられました。本人がとても苦しんでいる状態からなかなか抜け出せない場合は、情緒面のベースを整えるためにお薬の力を借りることも、選択肢のひとつですね。
これってこだわり?症状?判別が難しい
「本人は痩せているんだけど、太るんじゃないかという不安があって。『アイス食べてもいいよね、1本じゃ太らないよね』と、私(母親)に毎回確認する。幼い頃にやっていたようにルールを書いて視覚化する対応は、今は嫌な様子。口頭で確認することで落ち着くみたい。かかっている医療機関でも、はっきりと診断をくだすまではいかないけれど、そうならないように見守りましょうと言われている。でも、正直このままで大丈夫なのか心配も残る」
こだわり行動と強迫性障害の区別、あるいは治療が必要な段階かどうかは判断が難しいですよね。本人のこだわりや確認行動がエスカレートするのか、現状維持なのか、減っていくのか、長期的に観察しながらかかりつけの医療機関へ日常の様子をお伝えしていくと状態が把握しやすいと思います。困ったときに相談できるように、信頼できる医療機関と繋がって経過をみてもらえると安心ですね。
保護者の心もち
「我が子の状態を毎日みていると、病院に行く基準が分からなくなったり、医療機関も合うところを見つけるまでに大変なこともある。こうやって保護者同士の横の繋がりで情報交換をしていくことは大事だと思う」
「子も親も波があるので、まぁいいやという気持ちもとっても大切」
このようなご意見もありました!
運営スタッフからのコメント
「以前研修で聞いた中で、こだわり行動については対象を増やす視点が重要という話があった。こだわりをやめる・無くすのではなく安心してこだわれる状況を作り、例えば3にこだわっていた子が6にも9にもこだわれるようになったら、世界が広がったり生きやすくなるのでは」
スタッフ田村からはこんなコメントもありました!
また、保護者会後のアンケートでは、デリケートな話題だけに「なかなか家族以外では話す機会がなく、スッキリした気持ちになれた」という感想も頂きました。「時間的にまだまだ話し足りなかった」というお声もありました!
会の終盤で、障害の告知についてお子さんへどのように伝えているかといったことも話題に上がったので、また深堀りする機会を作ることができたらと思います。
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