作業療法士でもあるBranchスタッフの小堀が、今回初めて保護者会に参加させていただきました。
感覚のでこぼこについて、心配ごとや「これってどうなの?」という疑問から、笑えるエピソードまで。そしてそれぞれの対応策を共有でき、楽しく有意義な時間でした。
載せないでほしい内容がございましたら、遠慮なくご連絡くださいね。
目次
- 自己紹介タイム
- 【導入】七つの感覚について
- 感覚でこぼこエピソード
- あるある話
- 大変なこともあるけど強みにもなる
- 車酔いって何で起こるの?
- 猫舌は感覚過敏?
- 気持ちが落ち着くための行動
- 感覚過敏+α(不安/緊張/こだわり/強迫観念)
- その他の質問
- 氷を食べる件
- 両利きについて
- サポートブックの利点
- 感覚のでこぼこが落ち着いていく過程
- 運営からコメント
自己紹介タイム
- お子さんがコミュニティで入っている部活
- アートクラフト
- マインクラフト
- スマブラ
- お子さんがハマっていること
- 闘い系ゲーム
- ピタゴラン
- ペンキで染めるゲーム
- 保護者が最近嬉しかったこと
- ドラム体験をして自分の時間が持てた
- 学校の先生が、家庭で過ごす時間を「楽しんでください」とゆだねてくれた
【導入】七つの感覚について
スタッフ小堀から、簡単に感覚についてのおさらいをしました。
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)という言葉は一般的に浸透していますが、発達を捉える際に重要な感覚がさらに2つあります。
・前庭覚(耳の奥の器官で揺れや回転を感じる)
・固有受容覚(筋肉の伸び縮みの刺激から、体の位置や動きを把握する)
どちらも、ボディイメージを構築することに深く関連しています。
また、感覚の感じ方は人それぞれ。ひとりの人でも、七つの感覚の中で過敏と鈍感が混在していたり、脳の目覚めの状態やストレスによって感じ方に波があります。
感覚でこぼこエピソード
あるある話
- 靴下を脱ぎたがる、洋服のタグが苦手、伸びない素材はダメ
- 「あるある~!」との声が多数(笑)
- 心地いい素材を選ぶ、タグを取ってあげるなどしている
- フォークなど食器の音
- 音に敏感(音楽の授業、体育館での集会、救急車、選挙カー)
- 予測できないタイミングでの大きな音は苦痛!
- 音楽の授業は、先生との交渉で環境を改善できた例もありました
- においに敏感、その場にいられない
- 鉛筆を持つとムズムズする、朝は力が入らない
- 感覚の鈍感さ、目覚めの状態による影響、運動の不器用さなどあるかもしれませんね
大変なこともあるけど強みにもなる
聴覚過敏で、楽譜は読めないけれど耳コピできるというお話もありました。一度聴いたフレーズを正確に覚えて歌うことができるそうです。苦手な音もあるけれど、好きなことには能力を発揮できる!
「過敏」には、感覚の解像度が高いという側面もありそうですね。
車酔いって何で起こるの?
- 乗り物に酔いやすい
- 電車は良いけどバスはダメ、自家用車のみNGなど様々
- 遊園地の絶叫系に乗れない
乗り物酔いとは、前庭覚が不規則な揺れなどの過度な刺激を受けたり、目から入る情報とのズレで脳が混乱している状態。においの不快感や精神的な不安なども関わっていると言われています。
意外と、前庭覚が関わっているという認識は一般的には浸透していないかもしれませんね。
ちなみにスタッフ宮脇は、前庭覚が鈍感なので絶叫マシーン大好きで何回乗っても平気!
小堀は前庭覚過敏ぎみなので、トランポリン3回くらいでしんどくなります(笑)
個人差ですね~。
猫舌は感覚過敏?
- 熱いものが食べられない/飲めないって、口の中の感覚過敏なの?
もちろんその可能性もあると思いますが…。熱い物が平気な人は、口に含むとき無意識に舌の動きを駆使して、食べ物をたくさん空気に触れさせることで冷ましながら食べています。なので、猫舌のお子さんは、舌の運動の未熟さや不器用さがあるのかもしれませんね。
気持ちが落ち着くための行動
- 噛むことでストレスを癒している様子
- 一時期テーブルの端を噛んでいたがおさまった、今は爪かみ
- トランポリンで跳びまくる
- バランスボールで揺れながらゲーム(すごい!笑)
みなさん、感覚を欲する行動やストレス発散に対しては、よほどの危険や害がない限りはなるべく見守るスタンスを取っていました。
感覚は、脳の栄養。気持ちの安定や集中の調整にも役立ちます。ボディイメージが曖昧なお子さんにとっては、自分の体を確認している行動の場合もあります。
健康に悪影響がありそうな場合や、社会的に受け入れられないような行動は、似た感覚刺激を得られる代わりの手段を考えていけたら良いですね。センサリーグッズ等、いろんな商品も出ています。
感覚過敏+α(こだわり/強迫観念/不安/緊張)
- 特定のお店のハンバーグしか食べない(見た目で判断)
- 「ウチも~!」と盛り上がっていました
- 骨折して半年以上経っても引きずっている(記憶が鮮明に残ってしまう)
- ベタベタが嫌で頻繁に手洗い
- 外出のときトイレが頻回になる
強迫的な行動や、不安・緊張の過度な高まりは、保護者がみていても「つらそう」「かわいそうだな」と感じるということでした。基本的には対象の行動を指摘はせず、他のことに気持ちを向けられるように声掛けをしたり、可能な限りストレスを減らして安心できるような環境づくりを意識されているとのこと。
長期間続いたり、エスカレートするようなら、小児科や児童精神科への相談という選択肢もあるでしょう。
その他の質問
氷を食べる件
- ある時期から毎日複数個、氷を食べるようになった
- 噛まずになめている
- 暑い/寒いとかではなく美味しいと言っている
- 本人はすこぶる元気
- 習慣になってしまっているけどこのままでいいのか?
発達障害を持つお子さんは、体温調整が苦手な場合もあります。でも、冬にもずっと食べるのであればその要因では説明しづらいですね。ガリガリ噛む感覚を求めてるわけではなさそうだし…。
他の保護者さんから、「氷を食べるのは鉄分不足と聞いたことがある」との情報をいただきました。
体調に異常がなければ少し見守っても良いでしょうが、鉄分不足などの要因が隠れている可能性もあるので、かかりつけの病院に行く際に質問/相談してみるのもひとつの方法だと思います。
両利きについて
サポートしてもらっている心理士さんから、「とっさの時の判断で左右が分かるよう、普段使う手を決めた方が良い」とのアドバイスがあったけれど、保護者としては両利きは強みでもあると感じているため悩んでいるとのご相談がありました。左を使うことが多い時期もあったけれど、今はどちらでも上手にハサミを使ったりできるそうです。どちらかに強要することは本人が嫌がるとのことでした。
他の保護者の方からは、
- 両手使えるなんてすごいね!
- うちは左利きで、文字学習では混乱していた
- 9歳くらいでやっと使う手が定まった
- うちも左右は分からないみたい
といったお話が出ました。
スタッフとしても、体の軸や運動面での発達がゆっくりな場合もあるので、少し長い目で見守っていいのではという思いもあります。また、左右の認識に関連して他の方法も検討してみてはいかがでしょうか。ボディイメージや空間把握を育むような遊びや、視覚的な刺激を手掛かりに理解できるタイミングが来るかもしれません。
サポートブックの利点
- 就学にあたってサポートブック作成を勧められた
- 必要なの?
- どう取り掛かればいいのか分からない
- みなさんどうしてる?
合理的配慮を求めるときに、口頭のみよりもやはり書面があった方が伝わりやすい、配慮が必要な特性の部分だけでも書いた方が良い、という意見が出ました。また、記録することで保護者自身の理解が深まるという視点もありました。しんどいよねって分かってもらえる味方がいるだけで、お子さんはほっとすると思います。
書面にすることで、学校であれば通常学級の先生・支援学級の先生・学年主任・コーディネーターなど複数の先生に対して同じように伝えられる利点もあります。学年が上がる際の引継ぎに時間がかかることもあるようですが、書面であればそのまま次の担任へ渡してもらうことも可能と思われます。
スタッフ田村から、サポートブックテンプレートの紹介もありました。よかったらご参考になさってください。
[サポートブック](https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/supportbook/)
感覚のでこぼこが落ち着いていく過程
皆さんのお話の中で、「苦手な感覚のはずなんだけど、好きなことなら平気なのよね」ということもちらほら聞かれました。感覚の過敏・鈍感の特性が全くなくなることはないでしょうが、精神的な苦痛が和らいで克服に向かうこともあります。そのポイントをいくつかご紹介します。
①好きな感覚/欲しい感覚をしっかりと入れて気持ちが安定する
②苦手な感覚刺激をなるべく減らす環境作り
※感覚過敏の方に”慣れ”は生じにくいといわれています!
③他にストレスになる状況があれば改善する
④興味があるものを通じて、能動的に刺激にアクセスする
※自分のタイミングで触る、音を鳴らすなど(予測ができる状態)
運営からコメント
保護者会後のアンケートでは、「あるある話を共有できてよかった!」「自分だけじゃないという安心感が持てた」「心強い」という感想を複数いただきました。
保護者会の醍醐味ですね。
また、テーマを絞って話し合ったことでの新鮮さや、勉強になったというご意見もありました。
今後も、アンケート内容やコミュニティでの話題などから皆さんが話したい・聞きたいテーマを選んでいきたいと思います。ご希望があればぜひお知らせください!
もちろん、テーマはあってもあくまで交流のきっかけですので、いろんな質問・お悩みもお気軽にお話しくださいね。
ゆったりと雑談できるような場も設けるなど、いろいろ試していければと思います。
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